2006年05月24日

現代版組踊を担う子供たち

沖縄本島中部。うるま市勝連という人口15,000人弱の小さな町で
演じ続けられている舞台がある。
現代版組踊「肝高の阿麻和利(きむたかのあまわり)」。
プロの役者や芸能人ではなく、中高校生だけが出演する舞台で、
世代交代をしながら8年のロングランを続けている。

物語はいたってシンプル。
沖縄の歴史上の人物で、首里王府に謀反を企てた「逆賊」との
悪名高き勝連の按司・阿麻和利(注1)の真の姿を、現代に生きる
子供たちの目で見つめなおそう…というもの。

だが、舞台自体は演技あり、ダンスシーンあり、エイサーや琉球舞踊と
いった伝統芸能あり、バンドサウンドあり…と盛りだくさんかつ華やかな
演出が施されており、ゴージャスなレビューのようでもある。

観客にリピーターと県外客が多いのも特徴で、2003年8月には
関東五ヶ所公演(埼玉、練馬など)を行い、現地サポーターの
並々ならぬ尽力もあり、市民会館レベルの会場で全公演チケット完売という
実績も残している。

いわゆるショービジネスの世界に属さず、あくまでも、勝連という地域にこだわり、
地域を活性化のプログラムのひとつであるとともに、その地で育った子供たちの
成長の場であるというスタンスにこだわった結果、沖縄県内で最も集客力のある
舞台のひとつとして成長した「肝高の阿麻和利」。

この舞台の成功が、現代版組踊「大航海レキオス」(注2)という作品を生み、
TAO Factoryが掲げる「現代版組踊(沖縄の古いものこそ新しい)」という
理念の確立に繋がった。

「肝高の阿麻和利」にしても「大航海レキオス」にしても、多くの観客をひきつける
一番の魅力は演じ手の「目の力」、そして「情熱」、「志の高さ」だ。

舞台に関わることで、自分の中で変わったものが沢山ある。

その、変わったものとは何だろうか?
そして、現代版組踊という舞台の何が、彼らを変えたのだろうか?

本連載では「肝高の阿麻和利」、「大航海レキオス」という2つの作品の
演じ手の中から、子供たちを中心にインタビューを行い、現代版組踊が彼らに
与えた影響、そして舞台へ関わることへの思いを聞いていこうと思う。

◎第1回 蔵當健吾(2006.5月 UP!)

◎第2回 平敷勇也(2006.6月中旬 UP予定)

(注1)阿麻和利
あまわり。1400年代に勝連を治めた按司(あじ=琉球王朝時代の地方豪族のこと)。
1458年に「阿麻和利の乱」を起こす。首里王府に謀反を起こした逆賊とされるが、
沖縄最古の書「おもそそうし」には阿麻和利は民から慕われた英雄だったという歌が
複数残されており、阿麻和利の勢力を恐れた首里が陰謀を企て滅ぼしたのでは
ないかという説もある。

(注2)現代版組踊「大航海レキオス」
2005年1月、那覇市民会館にて初演。琉球放送創立50周年事業のひとつとして、
同年3月まで那覇、宮古、石垣、沖縄コンベンション劇場にて6回公演を行う。
2005年6月から2006年4月まで、TAO Factoryの主催事業として沖縄県内と
東京、愛・地球博などで通算20回の公演を行う。
琉球舞踊、空手、エイサーなど沖縄の伝統芸能をふんだんに盛り込んだ、
「沖縄の古いものこそ新しい」を体現した舞台である。

投稿者 tao-factory : 2006年05月24日 22:26