現代版組踊を担う子供たち
Vol1.蔵當健吾
第1回 蔵當健吾 「王の自覚」
【プロフィール】
蔵當健吾(くらとうけんご)。1988年11月生まれ。
現在、沖縄県立与勝高等学校3年生。2002年より「肝高の阿麻和利」に参加。
男性アンサンブル、大城賢勇(うふぐしくけんゆう)役を経て、2004年12月に
3代目阿麻和利としてデビュー。「大航海レキオス」にも参加。「キングシラー」と
して人気を誇る。ダンスや空手の型の美しさに定評がある。
健吾のことを知って、もう3年ぐらいになるだろうか。
いちばん最初に舞台(「肝高の阿麻和利」)で見たときは、男性アンサンブルという
ダンスメンバーの一人。
「チョンダラー」というエイサーの道化師的役に扮し、舞台上でも外でも誰より
はっちゃけているのが彼だった。
終演後、きむたかホールの庭で舞台を見に来た仲間たち(この子達ももれなく元気そう)と
肩を組み、指笛を吹き鳴らし、飛び回る健吾を見て、
「悪そう、…もとい元気な子だなぁ…」
と思ったのをよく覚えている。
その後、「肝高の阿麻和利」では、阿麻和利を裏切る重要な脇役、
「大城賢勇(うふぐしくけんゆう)」役を経て、今では主役の阿麻和利を
貫禄たっぷりに演じ、「大航海レキオス」では黒ずくめの軍団・サルタン軍団の長、
キング・シラーとして華やかに踊りまくり、沖縄の伝統的な武術である棒術を披露する。
2つの舞台でまったく違う役柄を演じるが、どちらも個性的でファンも多い。
舞台の経験を重ねるうちに性格が変わったのかはわからないが、
今、私が彼に感じる印象は「クールで寡黙」。
稽古場での彼は無駄な事は言わず、いつもひとり、黙々と練習に打ち込んでいる。
ストイックといえば、ストイック。
なのだけれど、それは決して他人を寄せ付けない態度…
というものではなく、ただ、もう、本当に
「無駄なことは言わない。余計なことは言わない」
というシンプルな態度に思える。
その証拠に、目が合えば少しはにかんだ笑顔を見せてくれる。
年下の仲間たちにダンスや棒術の指導を請われれば、根気よく丁寧に教える。
その根気よさ、丁寧さは大人の私でさえ舌を巻くほど。
教わるその子が何かをつかむまで、説明しすぎず、見守るべきはじっと見守って、
何時間でも付き合う。
だからだろう、健吾に憧れる子供たちは多い。
特に年下の男の子たちからの人気が高く、浦添や八重山といった地域の
演劇ワークショップ(注1)から指導者として声がかかる事も多い。
まだプロの役者ではない、現役高校生の彼に「指導者」としての
オファーが来るのである。それはなかなか珍しいことだ。
また、昨年1月から今年の4月まで公演を行い、私が制作として携わった
「大航海レキオス」という舞台においても、健吾は独特の安定感を放っていた。
舞台本番はもちろんであるが、天候の変化や会場の雰囲気や都合など、
突発的なアクシデントが起こりやすい野外イベント、キャンペーンライブでも
「健吾がいるから大丈夫」
「きっと、きっちり盛り上げてくれる。魅せてくれる」
不思議とそんな気にさせてくれるのである。(注2)
☆Vol.2では健吾の活躍のきっかけとなった
「肝高の阿麻和利」への参加秘話を紹介します。
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(注1)地域の演劇ワークショップ
那覇市、浦添市、八重山、金武町の教育委員会や実行委員会が
主催する小学校4年生から高校3年生までを対象とした演劇ワークショップ。
TAO Factoryが企画・制作、演出、音楽、演技指導などを行い、
数ヶ月のワークショップの後、市民会館等で成果発表の舞台を行うもの。
(注2)健吾がいるから大丈夫
2005年6月の「大航海レキオス」公演本番、戦いのシーンで棒術の棒を
2つに折ってしまった健吾はすかさず、棒を両手に持ち替え、二刀流の構えを
見せた。機転の利いたアドリブにスタッフの一部は「ほ~ぉ」と関心のため息を
もらしてしまった。
投稿者 tao-factory : 2006年05月24日 20:56
